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「月山クラフトビール 月山自然水仕込み」グルメライター・猫田しげるさん

ピルスナーは、実にスッキリして軽やかな味。

鼻に抜ける香りがフルーティーです。

アルトはどっしりした口当たり。

よく焙煎されたモルトの香ばしさが感じられます。

「ピルスナー」と「アルト」、どちらが好きかと聞かれると迷いますねえ。お風呂上りにグビッと飲みたいのは「ピルスナー」ですが、食事と一緒にじっくり飲みたいのは「アルト」でしょうか。

(本文より)

 

今回グルメライターである猫田しげるさんに試飲していただいたのは、「山形の極み 月山クラフトビール 月山自然水仕込み」です。タイプの違う2つのクラフトビールのお味の違いはどうだったのでしょうか? ぜひ、ご覧ください!

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こんなにお酒が好きなのに、「クラフトビールって何?」と聞かれると、「小さい工場で造ったビール…?」としか答えられません。

でも調べてみると、どうやらアメリカでは「ブルワーズ・アソシエーション」という協会によって「小規模であること」「独立していること」「伝統的な原料や製法で造っていること」と定められているようですが、日本では明確な定義はなく、だいたいアメリカと同じ意味合いのようです。私が適当なだけじゃなかったんですね。ホッ。

しかし「クラフトビールはどうやって造られるか」と聞かれると、醸造所に取材に行くことはあるものの、試飲に心を奪われすぐ忘れてしまうので(!)、ここでおさらいします。

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まずビールの原料は麦芽、ホップ、酵母、水です。

  1. 麦芽を発芽させて粉砕する
  2. 粉砕した麦芽をお湯で煮込み、糖化させる。
  3. 濾過してホップを加え、煮沸する
  4. 上でできた麦汁に酵母を加え、発酵させる
  5. 数十日間熟成させる

(1)の時に麦芽を温度違いで乾燥させたり焙煎したりすることで、いろいろな種類の「モルト」ができ、黒ビールや濃いビールなどさまざまなスタイルに分かれます。モルトは、低温で時間をかけて乾かした「ペールモルト」、黒ビールを造る時に用いられる「カラメルモルト」などがあります。

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そんなビール醸造について、麦芽やホップももちろん大事ですが、やはりどの工程でも大切な存在となるのは「水」でしょう。

そんな「水」にこだわったのがこの「山形の極み 月山クラフトビール 月山自然水仕込み」。
その名の通り日本有数の豪雪地帯である山形県月山山麓で造られています。

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種類は「ピルスナー」と「アルト」。ピルスナーは低温で長時間発酵させる「ラガー」タイプ、アルトは高温で短時間発酵させる「エール」タイプ。ラガーは日本のほとんどの大手メーカのビールで、エールはイギリスやベルギーでよく見る色の濃いビールですね。

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まずはピルスナーですが、こちらは鮮やかな黄金色です! コップに注いだ瞬間、シュワシュワと音を立ててきめ細やかな泡が立ちました。

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撮影とは言え、昼から飲むのは幸せですねえ。ピルスナーは、実にスッキリして軽やかな味。普段飲んでいる大手ビールより苦味が断然弱く、喉に引っかかる感じが全くありません。鼻に抜ける香りがフルーティーです。

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一方、アルトは赤褐色のいかにも「クラフトビール」といった見た目ですね。心なしかピルスナーより泡立ちが穏やかな気がします。

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しかしこちら、飲んでみるとどっしりした口当たり。穀物のコクと甘みが凝縮された、まさに「麦を楽しむビール」です。よく焙煎されたモルトの香ばしさが感じられます。

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日本国内には400近くものクラフトビール醸造所があるそうです。いくつか飲んだことがありますが、酸味が強かったり、ジュースのように甘かったりと、なかなか好みの味には出会えないものです。だいたい、生ではなくビンなのでフレッシュ感がない場合が多いですね。

でも「月山クラフトビール」は、まるでタンクからそのまま注いだような鮮度の良さがあります。なぜでしょう?

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その理由の一つが、醸造工程の(4)の後に加熱処理せず、酵母を生かしていること。
通常、発酵が進んでしまうため加熱して酵母を殺すのですが、こちらは非加熱で酵母を生かしています。酵母そのものにもまろやかな甘みがあるため、酵母を生かしておいたほうが断然味わいが深くなるのです。 

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それだけではなく「月山クラフトビール」を造る醸造機は、ドイツの名門、カスパー・シュルツ社製。ビールの本場で330年の間、全世界に醸造設備術を伝え続けてきた名門です。

このビールは、素材や製法だけでなく、醸造機にまでこだわって造られた、知恵と技の総力結集とも言える渾身のビールなのです。
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「ピルスナー」と「アルト」、どちらが好きかと聞かれると迷いますねえ。お風呂上りにグビッと飲みたいのは「ピルスナー」ですが、食事と一緒にじっくり飲みたいのは「アルト」でしょうか。

でも昼から飲むにはすっきりした「ピルスナー」が良いでしょう。とは言え、「アルト」も肉料理などと合いそうなのでランチビールにオススメかも。結局どちらも昼に飲むんですね(笑)。

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と、飲み比べをしていたらいつの間にか4本も空いてしまいました。こうしてまた友人に「酒の記事ばっかり書いてる」とツッコまれるのでしょうね。

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いかがでしたか? 素材、製法、鋳造機のすべてにこだわった2種類のクラフトビール。さっぱりとした味わいの「ピルスナー」と、麦の味わいが凝縮された「アルト」、それぞれの違いを楽しみながら、至福の時間を過ごしてはいかがでしょうか?

 

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猫田しげる

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食関係の編集ライター。タウン誌、グルメ情報誌、レシピ本、新聞の地域情報版などの媒体で15年以上取材執筆。美味しいものからちょっと変わったものまで、食に関するあらゆることを愛し、日々発信中。